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フランスの軍隊

 投稿者:Sekko  投稿日:2009年 6月15日(月)19時08分28秒
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   大羊さま

 私は軍地あの実情に詳しいわけではもちろんありませんし、身近にいるのは都市のインテリ層が多いんで、フランス人の一般の意識がどうなのかはよく分かりませんが、前に若者に、「国のために死ねるか」というアンケートをとった結果を見たら、タイだかが一位で、最下位がフランスと日本でした。フランスは個人主義のせいで日本は利己主義のせい? そんな温度も日仏は似ていて私はむしろ好感を持てましたが。

 兵役に行った直接知ってる人たちから今まで聞いた話では、第二次大戦とかの人は知らず、一番古いのガアルジェリア戦争で、あれは悲惨みたいで、みんな嫌な思い出があるとは言いますが、他のことではおしゃべりな人でも、そのことは語りません。かなりトラウマみたいです。その後が団塊の世代の人で、彼らはアルジェリア以降で、その後戦争がなかったので、パリの地上勤務で国立大学の夜学にも行けたので時間的にもロスがなかったという人もいます。でも一応の軍事訓練は義務なので、集団行動が大嫌いな人は思い出すのも嫌、と言います。後は、兵役1年の代わりにアフリカとかでフランス語などを教えるシヴィル・サービス2年をやった人も少なくなく、そういう仲間はその後の付き合いもけっこうある人脈ができたようです。

 親戚の歯医者で、歯医者として最初の兵役をやった後、軍隊に席を置いたまま、数年に一度とか研修みたいなのを受け続けて士官になり肩書きを上げて息続けた人がいます。lこうしておけばもし実際に戦争が起きて徴兵された時、条件がいいからと。でも戦争がないまま、引退の年齢になりました。

 もう少し若い人で、兵役が第一次湾岸戦争にぶつかってあせった人もいましたが、兵役の人は前線にまわされないということでした。つまり実戦力がないということです。テクノロジーが発達した今では、素人を少し訓練したところで即戦力にならないので無駄ということで、結局兵役も廃止されたんです。

 今は、一応18歳かなんかで男女ともに呼び出されて、1日国防についての講演とか聞かされて、シミュレーションゲームで、兵士に適してるか士官向きかとかの採点があるのですが、引きこもり系の子供でも、ゲームのできる子は高得点をはじき出して「士官」とかクラス分けされてるのは笑えます。

 ちょうど制度変革のはざまに当たった1980年から1982年くらいまで生まれの人は、「国防教育」さえされてません。

 エリートのグランゼコール学生を対象にした作戦の研修も士官学校であって、1ヶ月やればなんか免状をもらえて、これはグループに分かれてあれこれシミュレーションをやり、兵站とか作戦とかいろいろ机上で考える参謀研修みたいなものでした。

 兵役がなくなった弊害としては、格差社会が定着しつつあることです。フランスの理念は「自由平等友愛」ですが兵役は一応、学校(公立が基本)と並んで平等の牙城だったんですよ。でも、学校の方は、家賃の高い地区、低所得者住宅の多い地区、移民の多い地区、と棲み分けが進むにつれ、同じような階層の子が顔をあわせるわけで、移民の子と口をきかないまま大人になるブルジョワの子とか実際にいて、差別主義者になったりするわけです。それが、兵役のあった頃は、軍隊では、みんな平等に混ざるので友人もできて、はじめて「共和国」精神が分る教育の場になっていたというのです。

 兵役が亡くなってからは、軍隊が兵士としてターゲットにするのは、失業率の高い移民の子弟や低所得層の若者です。さすがに、アメリカのように、イラクに行くことと引き換えに市民権を与える、みたいなことはないですけど。もちろん免許取得だの、年金だのの優遇もあります。でも、社会にルサンチマンをかかえた層にばかり軍事訓練をして、後からテログループとかに取り込まれたらどうするんだ、とか余計に偏見を持つ人もいます。

 うちは婿の父親が海軍軍人ではじめて職業軍人と親戚づきあいができましたが、正装は軍服、会食というとパリのど真ん中にある豪華なミリタリーサークルを使用、とか、違う世界があるのを知りました。その人は昔、軍艦ジャンヌ・ダルク号で世界一周の研修をしたそうで、その時に日本にも寄って京都のお寺の改修の瓦を買って裏に名前を書いた、っていうのが「私向けの自慢」です。京都のどこかのお寺の屋根の瓦の裏には、うちの孫のおじいさんの名が刻まれているわけです。その人が実戦の経験があるのかとか、怖いこと辛いことがあったとか、そういう話はしませんから、もちろん分かりません。

 とにかく、今のフランスの若者は、ものごころついてから、戦争も知らず、EUが一応安定してるので、「国を守らなきゃ」という意識は育ちようがなく、そういう体質の人は、地球を守るエコ運動家になったり、第三世界にボランティアに行く人道活動家になったり、状況によっては別のアイデンティティを求めてイスラエルに行ったり、アフガニスタンやパキスタンに行ったり、という感じですかね。

 私個人は、上位権力から殺しのライセンスをもらうような職業は007であれ軍人であれ死刑執行官であれ耐えられないので、そういうものを必要としない世界の実現への寄与を少しでも視野に入れて暮らしたいです。

 イランの選挙の結果、がっかりでした。
 
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